勝手にメンズファッション誌オブザイヤー2013

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 2013年の大晦日。今日は一年の締めということで、 毎年恒例の「勝手にメンズファッション誌オブザイヤー」をお届けしたいと思います。 今年で5年目のこの企画。ありていに言えば、よくある「○○オブザイヤー」のパクリです。 内容としては、毎月、ほぼ全てのメンズファッション誌に目を通す、わたくしdaleが独断と 偏見で面白かった号を10冊ピックアップして紹介するというもの。 当然、私の好みが色濃く反映されておりますが、 可能な限り平等な目線で選んだつもりなのでご容赦を。 なお、女性誌は追い切れていないので、 毎年ながらメンズしかやりませんのであしからず。

 5月のWWDの雑誌特集「ファッション業界人が選ぶ!メンズ誌ランキング」では、 POPEYE、UOMO、SAFARIが好調な雑誌トップ3という結果。POPEYEの好調でPOPEYE的な誌面が多く見られるようになり、 思い返せば、ニットの肩掛け、NB、キャップ、スウェットなどの人気も「シティーボーイ」を起点に 広がっていったような気がします。そんなPOPEYE人気の1年でしたが、 私が選ぶ今年の10冊はこちらです。


10位 MonoMax9月号

Mono Max (モノ・マックス) 2013年 09月号 [雑誌]Mono Max (モノ・マックス) 2013年 09月号 [雑誌]

宝島社 2013-08-10
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 2012年11月号で「モノ雑誌売上No.1」宣言をしてから今年一年ずっと1位をキープしたようです。 Amazonのレビューを読むとほぼ付録にしか言及されておらず、 内容は毎号ランキング、ランキング、そしてランキングで構成されておりますが、 9月号の「価値のある安いモノ200!」のセレクトは秀逸だと思いました。

 よくあるファストファッション特集ではなく、フェアトレード、アウトドア、 セレクトショップオリジナル、ファクトリーブランド、ハイブランドまで お値打ちアイテムを幅広くセレクトしており、この守備範囲の広さは さすがモノ雑誌といったところ。ボルサリーノ、ミステリーランチ、オリバーピープルズ、ホーウィン社の革財布といった この手の特集であまり見ることのない名前までありました。 よく見つけてきたなというアイテム多し!

9位 FREE&EASY1月号

Free & Easy (フリーアンドイージー) 2013年 01月号 [雑誌]Free & Easy (フリーアンドイージー) 2013年 01月号 [雑誌]

イースト・コミュニケーションズ 2012-11-30
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 靴、アイビー、スティーブマックイーン。これに有名人のスナップと私物晒し。 さすがにネタ切れ、マンネリを感じ、誌面も気持ち薄くなってきたFREE&EASY。 それでも年に2~3冊は気合の入った特集を組みます。 その1つが1月号の「アメリカ靴、イギリスの靴、日本の靴」。 Part1のアメリカ靴の目次を紹介すると、出会い、アメリカの靴作りを学ぶ、 アメリカを代表する靴、リテーラーのお国事情、ニューウェーブ、ベストコーディネート、 私アメリカ靴を選びます、アメリカ靴のカタログ、コラム/ボブ・グリーン、コラボレーション。 これだけでも他誌の特集よりボリュームがあります。 これがPart2イギリス靴、Part3日本靴と続くのですね。その読み応えは相変わらず圧倒的。

 余談。FREE&EASY恒例のアイビー特集は『別冊Free&Easy アイビー特集号』として 今年はリリースされました。現在プレ値がついておりますが、 いつものアイビー特集にカタログをつけてボリュームを出した感じです。 「日米上級者(主に業界人)コーディネート対決」が見所ですが、 読み物としては2011年Free & Easy2月号のアイビー特集の方が面白いです。

8位 PRODISM創刊号

PRODISM (プロディズム) 2013年 12月号 [雑誌]PRODISM (プロディズム) 2013年 12月号 [雑誌]

創芸社 2013-10-24
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 プロダクトが主役のPRODISM。今年の10月に創刊された新雑誌です。 「プロダクト至上主義」を掲げ、モデルの顔も、取材したクリエイターの顔も一切出てきません。 編集長は渡邊敦男氏。asayan、HUGE、ハニカム、OUTSTANDINGなどのファッション誌を手掛けてきた経歴を持つだけに、 誌面にもそれがよく現れています。もっとも近いのはHUGE。

 プロダクトが主役と言っても、いわゆるモノ系雑誌ではなく、どちらかと言えばモード系の雑誌に近く、 登場するブランドもデザイナーズばかりなのでヴィジュアルが非常に洗練されております。

 ただ、ハイファッション×プロダクト(アウトドア的な機能美)というのは時代の空気に合っているとは思いますが、 リニューアル後のHUGEが苦戦しているように、モード系の雑誌は全体的に元気がありません (この数年休刊ばかり)。写真のカッコよさ(アートっぽい)でどこまで一般層を惹きつけることができるのか。 注目しています。ファッション好きにはウケそうな雑誌です。

7位 WARP MAGAZINE JAPAN8・9月号

warp MAGAZINE JAPAN (ワープ マガジン ジャパン) 2013年 09月号 [雑誌]warp MAGAZINE JAPAN (ワープ マガジン ジャパン) 2013年 09月号 [雑誌]

トランスワールドジャパン 2013-06-24
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 大人のライフスタイルマガジンWARP。昔からストリートやカルチャー情報の多い雑誌でしたが、 時代がようやくWARPに追いついた、いや今の時代に合うようになってきたと言いますか、 最近読んでいて面白いなと思う雑誌の1つです。

 特に良かったのが8・9月のVANS特集。ストリートカルチャーに強い雑誌だけに、 ストリートと密接な関係があるVANSの取り上げ方は半端ではなく、 100ページ近くにわたり掘り下げています。 このページ数は読み応えに定評のあるFree&Easyの特集レベル。

 内容もVANSの歴史と年表、VANS本社に潜入、US VANSピープル25人(スケーター等にインタビュー)、 VANS×SUPREME歴代コラボモデル、VANS女子スナップなど、 まるでスニーカー専門誌SHOES MASTERのムック『Sneaker Tokyo』シリーズを読んでいるような濃さです。 来年もVans人気が続くようなら読み直しておきたい号ですね。

6位 men's egg11月号

men's egg (メンズエッグ) 2013年 11月号 [雑誌]men's egg (メンズエッグ) 2013年 11月号 [雑誌]

大洋図書 2013-10-12
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 ギャル男文化を牽引してきたファッション誌men's eggの休刊は一般誌にも 取り上げられるほど話題になりました。その見解として、「ギャル男の数が減った」 「ギャル男が多様化した」「渋谷が健全化した影響」などが挙げられていますが、 歴代モデルやブランド関係者たちはどのように考えているのか。 それがこの11月号で語られます。

 「ギャル男ファッション14年史」と「ギャル男ヘア14年史」は資料的な価値があり、 men's eggだからこそできるアーカイブでしょう。men's eggおなじみの体を張った バカ企画は最後ということで新旧モデルが対決するという豪華な内容。 そして芸人顔負けのリアクション芸です(笑)Forever men's egg!

5位 BRUTUS763号

BRUTUS (ブルータス) 2013年 10/1号 [雑誌]BRUTUS (ブルータス) 2013年 10/1号 [雑誌]

マガジンハウス 2013-09-17
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 秋冬のファッション特集号は「ファッションの細かいこと」。 ファクトリーブランドのクラフトマンシップを取り上げる特集はよく見るのですが、 いわゆるモード系ブランドでそれをやるのは珍しいです。

 特集の目玉は、サンローランのスモーキングジャケットを104のパーツに解体し、 エディ・スリマンが作る新生サンローランのクリエーションを読み取るというジャケットの解体ショー。 美しいシルエットを生み出す秘密、フロントボタンを留めてはいけない理由、 エディの服がフェミニン(レディースの発想)と言われる所以などが明かされます。

 他に、トム・フォード、トム・ブラウン、ドリス・ヴァン・ノッテン、 スコット・スタンバーグ、ナイジェル・ケーボン、ジャン・トゥイウトゥ、服部哲弘(YAECA)、 吉原秀明(HYKE)が語るファッションの細かいこだわりも一読の価値あり。 人選がいいですよね。

4位 カジカジ4月号

カジカジ 2013年 04月号 [雑誌]カジカジ 2013年 04月号 [雑誌]

交通タイムス社 2013-03-12
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 毎年のことながらカジカジの関西愛と日本ブランド愛は素晴らしい。 この雑誌くらいです、ローカル情報がこんなにも濃いものは。 いや関西のローカル雑誌だから当たり前と言えばそうなのですけども。

 カジカジは1年に数回関西ブランド、関西ショップ、日本ブランドの特集を組むのですが、 今年なら4月号の「Made by Japan」特集が外せません。

暗いニュースが多い今の日本だけど、日本のブランドは元気(なはず)。 日本には世界に誇るブランドがたくさんある。ただ、数が多すぎてどれが自分に合うの?なんて思うこともしばしば。 そんな悩みにも少しでもヒントになればと、今回は128ブランドの今期をご紹介します。

 他誌の日本ブランド特集はせいぜい30程度なので、128というのは圧倒的な数と言えるかと思います。 それくらい気持ちが入っており熱いです。

3位 SamuraiELO11月号

Samurai ELO (サムライ イーエルオー) 2013年 11月号 [雑誌]Samurai ELO (サムライ イーエルオー) 2013年 11月号 [雑誌]

インフォレスト 2013-09-24
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 ファストブランドを賞賛するファッション誌が多い中、 SamuraiELOは「長所と短所を学ぶユニクロ辛口批評」と天下のユニクロに喧嘩を売りました。 なんとユニクロにダメ出しです。

 chapter.1「ALL正解ユニバレ回避コーデ術」、chapter.2「やってはいけないユニクロ服の弱点まとめ」、 chapter.3「ユニクロMIX上級者SNAP」とそのほとんどがユニクロの「短所」を切り口にしており、 絶対買っては行けないアイテムはこれ、店頭のマネキンコーデはあてにならない、 ユニクロアイテムでは作りにくいスタイルが存在するなどユニクロの欠点を 徹底的に洗い出しています。

 今の若者向けのファッション誌はコスパにモテというキーワードで無難に お洒落指南をしていますが、SamuraiELOの企画には攻めの姿勢が見られます。 「バレない激安コーデ」では実際に女性が見抜けるのか検証していたり、 セレクトショップの人気調査をガチでやったり。 ファッションマニュアル系雑誌では今一番面白いです。

2位 EYESCREAM11月号

EYESCREAM (アイスクリーム) 2013年 11月号 [雑誌]EYESCREAM (アイスクリーム) 2013年 11月号 [雑誌]

スペースシャワーネットワーク 2013-10-01
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 今年の5月号にリニューアル。出版社も音楽と人からスペースシャワーネットワークに変わりました。 リニューアル以降、当たり外れの大きかった特集の打率が上がり、 裏原世代のツボを突く面白い雑誌に生まれ変わったなという印象。 今年一番面白くなった雑誌を挙げるなら私はEYESCREAMを推します。

 EYESCREAMは今の「TOKYO」ファッションが一番よくわかる雑誌とも言えるのですが、 それは単に服、音楽、映画といった作品だけではなく、それを仕掛ける人(クリエイター側)もきっちり追っているから。 そして今の「TOKYO」ファッションを作っているのは裏原世代のクリエイターが多いから。 昔から裏原ノリをやってきたEYESCREAMなのでこの分野には一日の長があり、 それが今開花してきている感じでしょうか。

 押さえておきたいのは11月号の「バイヤーがファッションを面白くする BUYER'S LIFE」。 人気セレクトショップのバイヤーにインタビューをし、彼らの経歴やライフスタイルを 掘り下げながらそのバイイングの視点を探るという内容。 ショップのテイストと今のトレンドを照らし合わせながら読むと面白いですよ。 「最旬 東京ライフスタイルショップガイド30」のセレクトも惹かれるショップばかりでした。

1位 POPEYE9月号

POPEYE (ポパイ) 2013年 09月号 [雑誌]POPEYE (ポパイ) 2013年 09月号 [雑誌]

マガジンハウス 2013-08-10
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 1位は知ってたとか言わないで(笑)1位は昨年同様POPEYEです。 非リアにハートブレイクショットを撃った20年ぶりのデート特集号、 SNEAKER JOURNALが勉強になったスポーツ特集号、NY、ロンドン特集号に続く パリ特集号とTOKYTO特集号などなど。今年もクオリティーの高い号が多かったように思うのですが、 一冊選ぶならチープシック特集の9月号です。

 9月号は名著『チープシック』の見事な補完で現在版チープシックのなんたるかが示されています。 安くてコスパの高いアイテムをファストファッションで探すというありきたりな内容ではなく、 オサガリを活用したり、服をメンテナンスしたり、トラッドでベーシックなアイテムを考えたり、 いいモノと長く付き合うワードローブの作り方がまとめられています。 ポパイが提唱する「シティーボーイ」と相性の良い特集、というより、 「シティーボーイ」はチープシックの思想そのものだと言えるでしょう。 POPEYEの良さが詰まった号です。


 以上。今年のトップ10を紹介しつつトレンドも振り返ってみましたが、 今年は下半期に面白い号が集中した感じでしたね。皆さんが面白かったファッション誌の号は何ですか?もし、気になる号がありましたら、 図書館に行くなりバックナンバーを取りよせるなりしてお読みくださいませ。 それでは皆様良いお年を!



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