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大量生産大量消費はファストファッションによって行き着くところまで 行ったという感じですが、最近はそのカウンターとしてエシカル、エコ、 リサイクルといったキーワードをよく目にするようになりました。
ファッション関係の書籍でも、好きな服を長く着用するためのメンテナンス本や 愛着のある服を再利用するリフォーム本が何冊も出ており、 本書『服直し』もそんなファスト消費の流れに抗う一冊と言えるかと思います。
「直しの力」のコーナーではペンドルトンの毛布を採寸、型紙作成、 仮縫い付きでコートにしたり、イーストウエストのアドラーのサイズ ダウンでは各パーツをバラし、サイズバランスのためにポケットフラップまで削っていたり。 直しっていうレベルじゃねぇぞ! というBEFORE⇒AFTERが多数紹介されております。
このBEFORE⇒AFTERも面白いのですが、本書で特筆すべき点はそこではなく、 お直し屋の職人に目を向けインタビューを行っているところ。 華やかなデザイナーのインタビューを見る機会は多いですが、 裏方のお直し職人のインタビューは珍しいと思います。 印象的だった言葉をいつくか抜粋して紹介すると。
「彼らの技術のスゴさというのはまだ世の中の認知としては低いですよ。 ですから、マイスターの称号を持てるような制度的な裏付けが欲しいですね(be-FRESH)」
「昔は必然性のある直しが中心でしたが、今は趣味的な直しと言うか。 直すこと自体が面白いっていう時代になっていると思います。特に男性は。 (コーダ洋服工房)」
「自動車の場合は、次々と新しいモノに乗り換えていく人と、好きな車、 いい車を大事に乗り続ける人がいますよね。洋服にもそういう文化が 育っても良いと思うのです(SARTO)」
「直しの場合は、まず解くことから始まります。100という完成品を10とか5とかのパーツにし、 その5というパーツは3+2なのか、4+1なのかを理解したうえで、 手を加えて復元するワケです。作るのとは別の難しさがあるんですよ(コーダ洋服工房)」
本書は取り上げられているお直し屋が少ないのが残念な点ですが、 その分各ショップの個性や哲学が掘り下げられていますので、 直しに出すときの参考にしてみては。

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