洋服にとって大事なものは何か「おにぎり」で考える

仕事ができて地味なスーツを着ている人が格好いい:日経ビジネスオンライン

洋服にとって一番大事なものは何だと思いますか。それは、美味しいおにぎりと同じ考え方です。 美味しいおにぎりとは、美味しいおコメなんですね。<中略>洋服も全く一緒なんですね。 何が一番大事かというと素材なんです。良い素材は勉強しないと分からないものですが、 そういう能力を高めることが大事だと思っています。ご飯は食べるから美味しいと分かる。 洋服もまず触ってみる。何回も鍛錬することが大事ですね。


 ホッシーこと干場義雅氏がファッション哲学を語っています。全体的に同意で、 特におにぎりのくだりは私も昔こんなことを述べておりました。

 無地Tがなんでも同じと思う人はおにぎりで考えると服オタの気持ちがわかるかもしれない。 おにぎりにおける米粒同様に生地がクオリティーの大半を決め、握りの強さが触感を 決めるように編みと縫製の強弱が着心地を左右し、形の形状に〇△があるように Tシャツの襟ぐりも〇▽の形状がある。

 ただ、これには抜けている視点があります。誰が握ったのか、どこで握ったのか、 米粒の銘柄は何か、という点です。「秋田美人(or熟練のおばあちゃん)が水と空気の 綺麗な田舎でひとつひとつ丹精込めて握ったコシヒカリのおにぎりです」と説明がつくと おいしそうに思いませんか?逆に「働き盛りの中年のおっさんが都会の真ん中で力強く 握った男の握り飯」だと人を選びそうな感じです。仮に後者の方がおいしいとしても、 そのイメージでなんとなく前者を選ぶ人が多いのではないでしょうか。

 これは洋服で言い換えると、デザイナーは誰なのか、ファクトリーはどこの国か、 ミル・マーチャント(テキスタイルメーカー)はどこなのか。 一言で言えば、ブランドのイメージや世界観です。

 それらも重要な要素であり、そのイメージに惹かれがちな我々ですが、 経験を積み重ね目の前の洋服の良し悪しが判断できるようになりたいものですね。

モテブランド予想2013A/W

 当たるも八卦当たらぬも八卦。毎期恒例のモテブランド予想の時間が大幅に 遅れてやってまいりました。もはや、無理やりモテに関連付けて、 トレンド的に私が気になるブランドを挙げるというコーナーになっていますが、 一応、知名度、トレンド、着こなしやすさの3点からモテブランドを選んでいるつもり。 セレクトショップオリジナルや鉄板ブランドだけ挙げても面白くないので、 モード、ドメブラ、ファストファッション、その他、と、バラエティに富んだ ラインナップになるよう、バランスを心がけております。 それではいつも通り競馬風に予想してみましたので参考程度にどうぞ。

枠番予想ブランド名お値段              寸評
1×and wanderデザイナーはイッセイミヤケ出身
2Brooks Brothers アイビー係数、オーバー100、シティーボーイ対象です
3 C.E東京ストリートカルチャーの立役者スケシンが手掛ける
4Champion(リバースウィーブ)街着によし、部屋着によし、うん、よし
5 Denim & Supply Ralph Lauren心斎橋に日本2号店をオープン
6 Gramicciクライミングパンツはゆるさアピールに便利
7 Kangolニューエラの対抗馬として使えるか
8 Kenzo目玉モチーフが今期の目玉とダジャレをかます
9 Links of Londonキャサリン妃愛用
10 MACKINTOSH PHILOSOPHYトロッタージャケットは汎用性抜群
11New Balanceダサイというかつてのイメージに倍返し成功
12 SAINT LAURENT PARISSPUR服屋大賞2013でスタジャンが1位に選ばれる
13Saturdays Surf NYCサーフィンとNYのライフスタイルを融合
14 suolo果実収穫用バッグcropが人気
15Supremeストリート人気が続く限り軸は外せない
16 Valentino進撃のヴァレンティノ、躍進際立つ
17Vansなにはくか?エラでしょ!
18 WOOLRICH(アークティックパーカ)モンクレールとカナダグースの人気に割って入るか


※ランキングではありません。

ブランドはアルファベット順に並べています。

※印の意味

◎…本命の意味の印。最もモテる可能性が高い。
○…対抗の意味の印。2番手。
▲…3番手の意味の印。本命を負かしうる力を持つと思われる。
△…4番手、穴の意味の印。展開によっては勝つ可能性アリ。
×…注意の意味の印。大穴の意。本命に勝つ事はあまり期待できない。

※値段の目安(イメージ)

安…バリューを感じるプライス
並…あくまでファッション好きにとっての普通
高…ファッション好きでも高いと感じるレベル
鬼…買うのに「確固たる覚悟」か「かなりの勢い」が必要なレベル

 毎年のことながら秋冬は英国トレンドが加わり、今期は千鳥格子やチェスターコートなどが 注目を集めておりますが、トレンド的には「モテブランド予想2013S/S」と そこまで大きく変わりません。「ゆるさ」「ストリート」「90年代」が今期も中心で、 女性誌を一通りチェックしてもハンサムルック、彼カジ、マスキュリンなど引き続き ボーイッシュなストリート風スタイルが提案されております。 メンズもそれに便乗し「シティーボーイ」でいくのが手堅いかと思います。

 それとは別の流れで、1年ほど前からおじさんブームがじわじわ来ており、 例えば、おじさんとの恋愛に特化した電子コミック『オヤジズム』が人気を博したり、 ティーンズ向けの女性誌CUTiEが 「おじメン好き女子急増中!」と特集を組んだり、 レディスのファッションに目を向けてもおじ靴、おじパンツ、おじシャツと「おじ」だらけ。 カワイイと合体して「おじカワ」という言葉まで出てきておりますが、 ついには社会現象になるようなおじさんまで登場しました。 それが倍返しおじさんこと半沢直樹です。この人気はちょっと見逃せないので、 半沢直樹的な何かに使えそうなブランドもリストにゲートインさせています。

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ポロシャツのタックインはあり?なし?クールビズスタイルを考える

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ラコステL1212フランス製

 ファッションの着こなし議論で「欧米では~」「本来は~」というクラシック派と 「昔ではなく今でしょ!」「ここは日本だから~」のモダン派の対立がしばしば見られます。 ポロシャツのタックイン問題もその中の1つ。先日も「 ポロシャツの着こなし方:誰が着ても絶対似合うクールビズコーデ10選」が話題になったばかり。

 「ケースバイケース」、「ジャストサイズが基本」、「清潔感・きちんと感が大切」と 何だかよくわからないポロシャツの着こなしですが、ただいまクールビズ真っ最中ですので、 この機会にもう少し具体的に考えてみることにしました。

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「裏原系が終わったのはいつなのか?」の余談

 「モードとは起源のない出現である」。ボードリヤールの言葉です。 ブームの始まりと終わりの時期を明確に出すのは無理があるのですが、 一応、前フリに対し投げっぱなしにするのもアレなので2006年と結論付けてみました。

 好きなブランドによって見方も変わってくるので見解は人それぞれで良いと思っており、 当時を懐かしんでもらえればと面白おかしく書いたのですが、 それが予想以上に拡散されていきましたので、ちょこちょこ加筆し修正を加えたりしております。 何かの参考になればと。

 元記事で省いたポイントを上げると、裏原系に対抗してギャル男から「裏渋系」が発生し、 JR柏駅東口で「裏カシ系」なるものが流行り(ネクサスセブンが台頭)、 そのネクサスセブン、ノンネイティブ、グッドイナフなどを取り扱った「時しらず」という セレクトショップの隆盛と閉店。これらも裏原関係です。

 他に、フラボアのサルエルとサロン系、廃れた代官山、裏原世代の受け皿となった中目黒系のショップ、 ここ数年盛り上がりつつある?奥原宿エリアなども裏原を語るうえでポイントになってきます。 ただこのあたりの話も盛り込むと、時しらずって裏原!?代官山の変遷は? 中目黒系って何?と話に収集がつかなくなりボリュームも増えますので削りました。

 私の見解では、裏原ブームは97年、00年、03年、06年、09年と3年ごとに節目がきており、 イノベーターは「裏原系」とブームに名前が付けられた97年、アーリーアダプターは 世紀が変わった00年、アーリーマジョリティはシーンのモード化が顕著になってきた03年、 レイトマジョリティはスキニーブーム(スト系シルエットの終わり)の06年、 ラガードはナンバーナインが解散した09年に裏原ブームは終わったと主張するのでは ないかと考えています。

 元記事はその山の稜線を歩いたようなもので、まだまだ別ルートによる見解もあると思いますので、 他の人の意見も読んでみたいところではありますが、 せっかくなのでもう少しだけ触れておきます。

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裏原系が終わったのはいつなのか?トレンドの流れを俯瞰し検証する

「裏原宿系ブランド」の終焉:日経ビジネスオンライン

2月20日に2社は破産手続きの開始決定を受けているので、完全に倒産したということになる。 今回の事態を受けて、ファッション関係者の多くは「やはり裏原宿系はダメになった」との 認識を強くしたのではないか。

 1990年代後半から、ストリート、ヒップホップなどのテイストを打ち出したブランドが「裏原宿系」として人気を得た。 しかし、2000年代半ば以降に失速してしまった。それでも約10年もの命脈を持ち得たのは、 比較的長かったと評価してもよいかもしれない。


 スワッガー倒産のニュースから裏原系は終わったと書かれているのが上記の記事です。「やはり裏原宿系はダメになった」とありますが、 裏原系の人気が今まで続いていたかのような認識で驚きました。

 そもそもスワッガーは恵比寿系であり(ストリート・ヒップホップ色が強い≒恵比寿系)、裏原(恵比寿系含む)ブームが終わった後はストリート系に吸収されていきました。そしてその裏原系はとっくの昔に死語になっているのです。

 裏原系ブームが始まったと言われるのは97年が定説です。藤原ヒロシのグッドイナフが90年、ノーウェアのオープンが93年、ネイバーフッドが94年なので90年代前半から裏原系はスタートしておりますが、 渋カジやストリートブームにより原宿にスニーカーショップ、古着屋、雑貨屋などが次々とオープン、そのカルチャーをベースに古着をポップにアレンジした裏原系ブランドが続いたという流れが一般的な見方でしょうか。

 そのブームがいつ終わったのか。それについて明確に記している資料はあまり見ないのですが、 『族の系譜学―ユース・サブカルチャーズの戦後史』では 「その高揚が世紀を跨ぐことはなかったのである」と90年代いっぱいのブームだと述べております。

 これで終わってもよいのですが、今回はせっかくなのでもう少し広い枠で裏原系を捉え、 スワッガーが台頭してきた2001年から倒産する2013年までのトレンドの流れを俯瞰し、いつ裏原系が終焉を迎えたのか、検証したいと思います。ではさっそく裏原系に関係ありそうなトピックを簡単にまとめてみました。

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